ぐるぐるする夜に

酔いどれ女の見たり読んだり浸かったり。

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あるキング/伊坂幸太郎

2009.11.06


伊坂さんが野球のお話を?
そんな驚きから入った作品。

日本の天才野球少年の記録と本文中に幾度となく引用される
海外古典文学との不思議なミスマッチ感が、今までの伊坂さん作品とは
また違った雰囲気だったので、これは楽しい系作品じゃないな…、と
思いながら読み進めた。
あえて言えば「魔王」の感じに通じていると思う。

短い作品の割りに章分けが度々入り、その都度誰からの
視点なのか分からなくなるし、大きな存在も感じる。
意味不明な登場人物や行為は今までの伊坂作品にも多々あったけど
今作も不穏感は物語後半までつきまとった。

他作品と違って小気味良い台詞も魅力あるキャラもいないけど、
抑えても出てしまう伊坂節みたいのがやっぱりちょこちょこあるので
そうゆう箇所ではここぞとばかりに笑わせてもらったかな。

私の思い違いでなければ、伊坂さんご自身の人生の変化、人生の節目を
こうゆう形で残した作品なのかなー?と思えるラストだったので
最後まで分からないネタは多々あったけど(ガンダムとか黒魔女とか緑の生き物とか)読後感は良かったです。

でも、読んでいて楽しい、読後も爽快!な作品ではないので
伊坂さん読み始めたばかりの人にはお薦めしない…。

 

夏の庭ーThe friends/湯本香樹実

2009.10.23


小学生の男の子と老人のひと夏の不思議な交流のお話。

自分の子供時代や、大好きだった祖父との毎日を思い出して
じんわりしたり温かい気持ちになったり。
とっても素敵な作品だった。

大人と子供としてではなくそこには対等な友情が芽生えはじめ
お互いツンデレなものだから読んでいて何とも微笑ましい。
最初は子供ならではの少し残酷な動機だったのに、
老人は、子供達との交流を通して生き生きとしてくるし
子供達も色んな事を知り、心も成長していく。

なんて色鮮やかで生命を吹き込まれた作品なんだろうと思いながら読んでいた。
庭のコスモス、みずみずしいスイカ、真夏の白い陽射し、そして花火。
作品では子供達からの目線で語られているが、もしかしたら子供達以上に
老人が彼らから貰ったものは多かったのかもしれない。
そんな事を思った。

 

さよなら渓谷/吉田修一

2009.10.23


帯の“人の心に潜む「業」を描き切る。”はさすがに言いすぎなような…。
とは言え、帯キャッチコピーの“どこまでも不幸になるために、
私たちは一緒にいなくちゃいけない。”に惹かれて手に取ったのですが。

フィクションではあるけれど、フィクションでしかありえないお話なのだけど
物語の中で起きる事件が現実にワイドショーで連日取り上げられたものを
彷彿とさせるので、とにかく軽い気持ちで読んでしまい気持ちが
重くなった。

センセーショナルな事件の陰にひそみ、あらわにされていく過去の事件。
私は女なので、読んでいて辛いなんてもんじゃなかった。
実際に世の中には今もこの手の被害でずっと苦しみ続けている方がいる。
究極の恋愛物語という観点で見るよりも、どうしても彼女の茨の人生を
思わずにはいられなかった。

彼女があの偽名を使った訳があまりにも悲しすぎる。
私はこの作品でここの部分が一番良かった。
こうゆう視点を持っていると言うだけで吉田修一は素晴らしいと思う。

戻れない、決して消えない忘れさせてくれない辛い過去を背負い
それでも生きていかねばならないのだとしたら…。

納得のいかない展開もあった。
タイトルだってこの作品に合っているとは思えない。
ラスト数行があまりにも重い。こんな文章で終わらせないでくれ!と
思うほどに重かった。
ただ、現実にはこんな展開絶対ありえない!と思うのに、
この作品の息苦しさの中では頭では理解できない感情も
受け入れてしまえる空気が流れていた。

 

街の灯/北村薫

2009.10.15


円紫さんと私シリーズを読み終えたばかりなので、
正直、また似た構成だなー、と思ったのだが…。

面白いです。読んでいて楽しい。
父親のような視線で遠くから温かく見守っている風だった円紫さんも
良かったけど、このシリーズのそれに当たるベッキーさんの
キャラが格好良いのだ。しかもミステリアスときた。

表題作を含む3つの連作短編集。
時代は昭和初期、主人公の女学生は上流階級のお嬢様。
こうゆうお話、読むの初めてかも。
上品で華やかな空気が全編を通してこの物語を一層美しいものに
していると思う。

チャップリンの映画からきている「街の灯」は読みがいのあるお話だと思う。
ベッキーさんの言葉が厳しくはあるが同時にとても優しい。

このシリーズ、読むのが楽しみです。

 

クレィドゥ・ザ・スカイ/森博嗣

2009.10.12


スカイ・クロラシリーズ、最終巻。

「ナ・バ・テア」の時もしばらく“僕”を勘違いして読んでいた。
それ以来、まず今作の語り部は誰だ?と知りたい気持ちが強くあったように思う。
最終巻ではその欲求がページをめくるごとにあやふやになり、
まるで語り部の見る幻覚のようでさえあった。
はっきりいって分からない。章ごとに語り部は変わっているとさえ思える。
同一人物だったのか?とさえ何度も思った。
だいたい想像をつけて読んではみたけど確信は出来なかった。
(今までの作品を読み返せば何らかのクセから分かるのだろうけど)

現実で何が起きようと最後には空がある事に、空で死ねる事を想像出来たこれまでの巻とは
少し様子が違い、現実の思惑に始終さらされていたのでどうも重い体を
もてあますような感覚が常につきまとっていた。

私は本でしか読んでいないから(押井さんの映画はこれから見るつもり)
それぞれキルドレに似通った雰囲気はあったとしても、個々に気持ちを込めて
読んでいたけど、物語の中の普通の人間からしたらどうなのか、組織の
上のものからしたらキルドレは何人いようが単にキルドレとしての
意味しか持たないのだろう。

 

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