ぐるぐるする夜に

酔いどれ女の見たり読んだり浸かったり。

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クレィドゥ・ザ・スカイ/森博嗣

2009.10.12


スカイ・クロラシリーズ、最終巻。

「ナ・バ・テア」の時もしばらく“僕”を勘違いして読んでいた。
それ以来、まず今作の語り部は誰だ?と知りたい気持ちが強くあったように思う。
最終巻ではその欲求がページをめくるごとにあやふやになり、
まるで語り部の見る幻覚のようでさえあった。
はっきりいって分からない。章ごとに語り部は変わっているとさえ思える。
同一人物だったのか?とさえ何度も思った。
だいたい想像をつけて読んではみたけど確信は出来なかった。
(今までの作品を読み返せば何らかのクセから分かるのだろうけど)

現実で何が起きようと最後には空がある事に、空で死ねる事を想像出来たこれまでの巻とは
少し様子が違い、現実の思惑に始終さらされていたのでどうも重い体を
もてあますような感覚が常につきまとっていた。

私は本でしか読んでいないから(押井さんの映画はこれから見るつもり)
それぞれキルドレに似通った雰囲気はあったとしても、個々に気持ちを込めて
読んでいたけど、物語の中の普通の人間からしたらどうなのか、組織の
上のものからしたらキルドレは何人いようが単にキルドレとしての
意味しか持たないのだろう。

 

朝霧/北村薫

2009.10.07


<私>と円紫さんシリーズ第5作目。3つの中篇作品。

「山眠る」
序盤から俳句、古典作品が登場人物達の会話で用いられ相当に苦戦した。
一応、これらがメインのお話に少なからずも繋がるので理解出来るのが
一番なのだけど、私には残念ながら無理だった。
メインのお話は明るいものでは無いが深く切ない余韻が残り、
やっとこのシリーズを読んでいる醍醐味を思い出した。
我が子を思う親の気持ちや、山眠るの句に感じた気持ちの変化。
淋しいけど大きなものに包まれている感じを受けた。

「走り来るもの」
こちらはリドル・ストーリーと言うらしい結末明かさず読者にゆだねる
タイプのお話を用いて語られる作品。
その「女か虎か」自体が面白かった。

「朝霧」
祖父の日記に書かれていた謎と円紫さんの演じる事になった落語の
偶然の巡り合わせがドキドキさせる。
忠臣蔵といろは歌の辺りのくだりはとても興味深く面白かった。
勉強にもなったし祖父の日記から膨らむ淡く繊細な恋の感じも
とても良かった。

全体を通しては高岡正ちゃんとのくだりがやっぱり一番楽しかったかな。
一応この作品でシリーズは終結?
円紫さんとも、ずっと優しく見守られ教えを請う側では無くなったし、
博識すぎる<私>の恋愛は見たくないので、それこそリドル・ストーリーと
して私の中では読み終えた、と言う想いです。

 

ゆれる/西川美和

2009.10.04


映画は2年半程前に鑑賞済み。
ラストの場面、その後兄はどうしたのか…、観る者にゆだねる形で
終わったそれは数日間なかなか頭を離れなかったのを覚えている。

今回、映画より前に「きのうの神様」を読んでしまうつもりなので
西川美和さんの本も読んでおこうかと思って手に取った。

たぶん映画が先に作られていて、その後ノベライズ化したのかな?と
思う程に、映画の世界からほとんど物語は広げられていないように思った。
語りを、登場人物それぞれの一人称で進ませ、兄の思考を最後のほうまで他者から見た人物像で語らせたりする形式。
別に多視点にしなくても良かったのでは?とも思ったけど、
それは私が映画を見てから時間が経ち過ぎているせいかもしれない。
あと、この作品は私の勝手な思い込みだけど本から入ったとしても
映画の感動を少しも削ぐ事は無かっただろうと思う。

渓谷にかかる不安定な吊橋と静かにたたずむ森の装丁写真は
青みがあり、まるで海に沈んだ場所にあるようにも見える。

兄弟の物語。
人それぞれにこの作品を読んでゾッとしたり、どうしてこんな風になって
しまったのかと嘆いたりするのだろう。
私は兄と二人の兄妹だが、兄が他人に見せる顔は私に見せている物とは全然違うのだと思う。
兄弟は選べないし、どんどん考えていくと親の育て方とかまでいってしまって、しかも考えるだけもう無意味だ。

兄はラスト、バスに○○…ったと私は思っている。そうであってほしい。

 

フラッタ・リンツ・ライフ/森博嗣

2009.10.01


スカイ・クロラシリーズ、随分と間を置きつつも4冊目に辿り着いた。

今作の主人公はクリタだった。
だからこそ、だろうか。あー、やはりこのシリーズはクサナギスイトの物語
なのだなぁ、と改めて感じられたのが不思議だった。
この後、どんな展開になってスカイ・クロラに続くのかは
分からないけど、今作は大きな動きがあったし、クリタを通して
クサナギスイトを魅せると言う方法に出た作者はすごい…。

今作は、文庫本で。
装丁から入った作品でもあるので出来ればハードカバーで読みたかったのだが。
ただ、初めて作家さんによる解説が読めたのは良かった。
自分の言葉では全然あらわせない感動がこのシリーズにはあるから…。
ちなみに「ナ・バ・テア」の文庫解説はよしもとばなならしい。
ちょっと読んでみたい、と思った。

今までのシリーズにも登場しているクリタ。
何となく勝手に人間に近い人なんじゃないかと思っていたけど、
そうゆう風でもなく。
何かがポロッと欠落している風な。

打算のない純粋な想いで締めくくられていて、切なかった。
とても良かったです。

 

ポトスライムの舟/津村記久子

2009.09.20


第140回芥川賞受賞作品

初読みの作家さんです。
津村さんのお名前は度々読書ブログで目にしており既刊本などを調べたりしてたけど
わが町の図書館ではこの受賞作からしか蔵書がない状況。

何か初期作品のほうが読んでみたいです。(買えは言わない約束

「ポトスライムの舟」
うーん。芥川作家が苦手なのではなく受賞作に苦手意識を持っている
私なので、この作品に関して良さが分からなかった。残念。
この賞に見合う程の新鮮な感覚、美しさを感じられなかった。

日々、身銭をきって生きているようなあくせくとした感じと
水と少しの光だけでも増えていける(植物詳しくないから間違ってるかも)
ポトスの対比とかはうまいと思う。

「十二月の窓辺」
ポトスライムの舟の主人公がパワハラを受けていた職場の話、では無く
全く別作品なのだろうけど、そう想像して読む事も出来るから
この作品とポトスライムの舟が同時収録されたのは良かったのでは?と
思った。

しかし、何かどっちの主人公もちょっと頭の回転が遅いと言うか
ぼんやりしすぎていて読んでいてイライラもした。
特にツガワは私が大嫌いなタイプの思考回路の主人公だったので、
人の気持ちに鈍感にはなりたくないなりたくない…、と思った。

 

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