ぐるぐるする夜に

酔いどれ女の見たり読んだり浸かったり。

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ぽろぽろドール/豊島ミホ

2008.03.04

2007年






んー!私、この作品スキです。

シャガールの絵を淡く可愛らしくしたような装丁に
これまた癖のある可愛いフォント。
物語のほうもホワホワしたものかな?と思いきや!

表題作を含む6篇の短編集。全て完結ものと見ました。
リンクはないと私は読みましたが。

全て、人形にすごい思い入れを持ってしまう人達のお話です。
人形、であってぬいぐるみじゃダメなんだわ、これが。
私は、白い猫のぬいぐるみをずーーっと捨てられずに持ってました。
中学生かな?高校かな?さすがに洗っていてもフワフワ感が
無くなって飾っておくのもアレかな?と思ってはみても
捨てたら夢に出てきそうで押入れにしまい込んだって言う想い出があります。

一篇一篇が短くて読みやすいのに、それぞれに確実に薄気味悪さや
他人の秘密を覗き見てしまったような後ろめたさが付きまといました。
まず、一篇目の表題作、「ぽろぽろドール」だけでも何度も!、!と
驚いたり恥ずかしくなったり…。
思ったんだけど、人形遊び=女の子かと思いきや、男の子、男性が
人形に尋常ではない愛情を注いでいる作品です。
その点にもまた、私は、豊島ミホやるじゃん!と思っちゃたのです。
ブライスのようなオシャレな女の子が収集しちゃうモロに嗜好品チックな
人形の話もあるし、かと思えば、成人男性が理想の恋人と思うような
ドールのお話もあります。
それぞれの人形の使われ方が、よくぞそこまで考えれるな!と思える程で
した。

●おばさまから貰った等身大の人形。それは、女の子である自分の
様々な悔しさをぶつける対象になる。その人形には彼女の悔しさを
受け入れて彼女の心を落ち着かせる不思議な仕掛けがある。「ぽろぽろドール」
帯の言葉のくだりを初めて読んだ時は、ちょっとステキなしびれがきました。

●自分の野暮ったさを、ブライスのような人形やクラスの可愛い子を
ドレスアップする事で満足させているような「手のひらの中のやわらかな星」

●「めざめる五月」小学6年生のお話ですが、一番なまめかしかったような…。

●唯一、「サナギのままで」だけは主人公と人形の関係、物語の入りが違うと
思う作品で涙しました。

●「君のいない夜には」かなり狂気の入った作品、スキです。この本の中で
一番、骨の髄まで人形に魅入られてしまった人を見た思いです。
他作品の人形への思い入れが思春期の八つ当たり的な対象であるのと違い、
人としての何か大事なものの欠落みたいなものを感じました。

●「僕が人形と眠るまで」一番、人間に近いタイプの人形を想像。ドールか。
出だしは、相当オレかっこいいぜ!チックな男の子で何こいつ、と思いますが、
なかなかに厳しい展開をみせる。落差がひどい。ある意味、人形のように
見目麗しかった人間が、それを失い、また人形のように扱わる(今度は心を
持たない消費物として)。
ラスト、自分が美しかった頃に見た情景を思い出すくだりが悲しすぎた。


著作「エバーグリーン」からは想像出来ないような作品だけど、
読んだ当時は、この登場人物意味わかんねー!と思ってた「陽の子雨の子」、
何か繋がった気がした。

好き嫌いのハッキリ出ちゃう作品みたいです。
私は、かなり良かったです。
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