ぐるぐるする夜に

酔いどれ女の見たり読んだり浸かったり。

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私の男/桜庭一樹

2008.02.29

2007年
第138回直木賞受賞





心苦しくも深い読書の時間を過ごせた事に感謝。

私は、こう言っちゃ人間性疑われそうだけど近親姦が絡んでくる物語を
好んで読んでいる。
嫌悪感をいっぱいにして、しかめっ面で目を細め恐々と、でも読むのを
止められない。

帯の言葉から、父と娘のディープな物語…と言う事、チラッと北海道も
絡んでくるらしいとの情報を得て読み出した。
直木賞受賞作品。桜庭一樹だ。期待せずにいられない。

序盤から濃密で匂い立つような物語。
読み手は、それをずっと体に溜めていかねばならない。
構想上、この本の終焉で読み手は開放される訳ではない。
だから、私は、最後の章を読むのを躊躇した。
物語のラストは分かっているのに、時間を止めたいと思った。
しかし何とか読み終え、終わってしまった事に呆然としてから、
読んできたストーリーを思い出し、パラパラとページを捲り戻していく。
時計が右回りに回るのが自然な時間の流れか…、などと訳の分からない事を
思ったりした。
この気持ちはどうすれば良いのだろうか。
あまり、言葉で二人の世界を表せられない。

箇条書き風で幾つか。
まず、もう、登場人物の名前や章のタイトルからしてこの作品の匂いを
増幅させているよう。
全くミステリーとは思わず読んだけど(読み終えてもミステリーとは
思っていない)2箇所程、衝撃を感じた。二人の関係性や「お…」。
未読だけど「少女七竈と~」は旭川が舞台らしいじゃないですか。
この「私の男」では紋別と奥尻。ビックリしたのはロスケと言う言葉。
普通に使ってる言葉なの?
私の住む日本海側の港町もロシア人をよく見かけるのでアレだけど
「拓銀さん」とかもだけど、かなりリアルに描こうとしているのかな。


共依存なんて言葉じゃ甘すぎる程の愛の形。血だ。
読み進めていく程に、勝手に描いていた“幼くて何も選べなかっただけの
可愛そうな女の子”像は変わっていく。
何もかもを奪って奪われて二人は公平なようにも思えた。
でも、それは常に精神の不安定を起こす麻薬のような暮らし。
女は罪深い程の愛は忘れないと思いながらも、安定を選ぼうとする。
やはり、父と娘なのか。男と女である前に。娘はいつか離れていこうとする。
それがどんなに辛い決断だとしても。

コロコロと相手を変えて自分は恋多き人間だと言う事に満足する人も
いるだろうけど、唯一無二、と思える人との暮らしを維持する為に
何か大事なものさえ捨てる事の出来る生き方を私はしてきた。
それは、花のようにあまりにも将来が見えなく自分から捨ててしまったのだけど。
奪われるばかりだ、と思って捨てたけど、まだ頑張れたのではないか?と
たまに思ったりした。5年近く同棲していた13歳上の別れた人を思った。
この本を読んで、無性に夜の匂いを雨の匂いを嗅ぎたくなった。
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