ぐるぐるする夜に

酔いどれ女の見たり読んだり浸かったり。

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さよなら渓谷/吉田修一

2009.10.23


帯の“人の心に潜む「業」を描き切る。”はさすがに言いすぎなような…。
とは言え、帯キャッチコピーの“どこまでも不幸になるために、
私たちは一緒にいなくちゃいけない。”に惹かれて手に取ったのですが。

フィクションではあるけれど、フィクションでしかありえないお話なのだけど
物語の中で起きる事件が現実にワイドショーで連日取り上げられたものを
彷彿とさせるので、とにかく軽い気持ちで読んでしまい気持ちが
重くなった。

センセーショナルな事件の陰にひそみ、あらわにされていく過去の事件。
私は女なので、読んでいて辛いなんてもんじゃなかった。
実際に世の中には今もこの手の被害でずっと苦しみ続けている方がいる。
究極の恋愛物語という観点で見るよりも、どうしても彼女の茨の人生を
思わずにはいられなかった。

彼女があの偽名を使った訳があまりにも悲しすぎる。
私はこの作品でここの部分が一番良かった。
こうゆう視点を持っていると言うだけで吉田修一は素晴らしいと思う。

戻れない、決して消えない忘れさせてくれない辛い過去を背負い
それでも生きていかねばならないのだとしたら…。

納得のいかない展開もあった。
タイトルだってこの作品に合っているとは思えない。
ラスト数行があまりにも重い。こんな文章で終わらせないでくれ!と
思うほどに重かった。
ただ、現実にはこんな展開絶対ありえない!と思うのに、
この作品の息苦しさの中では頭では理解できない感情も
受け入れてしまえる空気が流れていた。
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パーク・ライフ/吉田修一

2009.10.05


表題の芥川賞受賞作ともう一篇の作品。

良さが分からない事のほうが多い芥川賞作品だけど、
この作品は作者の言わんとしてる事がぼんやりとだが伝わってきて
その感性に驚いた。

多種多様な人の集まる都会の公園、“からだ”と“こころ”。
人間観察力が凄いんだけど、それをそのまま文章にせず
登場人物の感覚にそって遠近感を持たせたり、高低差を出したり。
抽象的な表現がすごくうまい。
この発想はどこから来るのだろう。

ストーリー展開としては主人公の周囲で起きる事柄を浅く広く淡々と
描いていくのでその点は“やっぱり芥川賞って分からない”で終わってしまうかも。
でも、わざと淡々と描いている感じもするのだけど。

人間と公園、そこからこんな小説を書けるなんてスゴイ感覚だと思った。

同時収録の「flowers」は上記とはガラっと変わった作風。
魅惑的な花の存在を人間にかぶせ、かなり濃い感じの作品。
登場人物の肉体を使う系の男達と花の接点が面白い。
こちらの作品のほうがパラッと読んでいる分には分かりやすくて良かったかな。

 

悪人/吉田修一

2008.02.07


この本、実際に手にするとなかなかの存在感。
ネット上の画像だとぺラッとしててよく分からないんだけど
結構厚いし、悪人、この書体に動きを感じました。

420頁、一気読みです。
どんな内容か全く知らずに読み始めたんだけどミステリー入ってました。
グングン読ませるような内容じゃないと思うんだけど
何故か読む手を止められず。

物語、事件の舞台となる福岡・佐賀・長崎辺りの細かやな描写、
被害者、加害者の家族、友人、同僚。
今まさにこの事件がニュースを賑わしていてもおかしくないと思える
怖さがあった。

誰をして悪人なのか。
1~2箇所、グッとくる所があったのだけど、それさえも間違っているような
気がして涙をひっこめた。
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パレード/吉田修一

2007.12.26



第15回山本周五郎受賞作品。

2LDKのマンションで共同生活を送る男女若者5人の奇妙な共同生活。
5人がそれぞれ主人公となる5章仕立て。
物語の時間軸は進んでいく。

本当に少しの縁で共同生活をするに至った風なのに、
特に誰もおかしな事にならずに不思議なバランスで生活しているのだ。
個々のキャラクターが魅力的で何だか楽しい気分で読み進めた。

が、少しずつそれぞれの抱える闇が見えたりする。
でも、それは大袈裟なものではなくて生きてたら色々ある、そんな事と思う。
この話はタイトルもパレードってな位だから、このまま最後まで
浮かれたように続いていくんだろうな…、と思っていたら
ラストの章で展開が変わった。
伏線はいくつもあったのに…。
衝撃、その後ドンヨリとした気持ちのラストとなった。

 

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