ぐるぐるする夜に

酔いどれ女の見たり読んだり浸かったり。

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荒野/桜庭一樹

2009.09.16


「私の男」で直木賞受賞後に刊行された作品、とは言え
3部構成のうちの1部と2部は2005年前後にファミ通文庫から出版されているものみたい。
ラノベ時代からのファンはこれを嬉しいと思うのか複雑と思うのか…。
私は、こうゆう作風も大好きなので一冊にまとめて出版されたのは嬉しい。

恋愛小説家を父に持つある一人の女の子の思春期にスポットを当てたお話。
タイトルの「荒野」はその女の子の名前なのだ。
名前としてはとても珍しいと思うし、その字から連想する険しい風景に
そぐわないような甘い切ないまどろっこしい内容でありながら
それは確かに荒野とも言えるかも、と思える場面もある。

それぞれにキャラの立った登場人物の中でも、蜻蛉のような父親が
良かったなー。
あと、家政婦の奈々子さんのエピソードが相当に良かった。
要するに第一部に一番の山があった、みたいな。
赤朽葉も第一部が好きだったしなぁ。


体も心も幼すぎた女の子が成熟していく過程。
それは性愛に関した事だけではなく心も、だ。
あの父親の娘であり、よって、色んな手強い女達に揉まれて
女になっていく荒野の外からは分からない芯の部分との
ギャップが面白い。

荒野はこれからどんな女性に成長するのだろう?
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赤×ピンク/桜庭一樹

2008.06.05

2003年








新装されたライトノベル時代の作品のよう。
イイなー、と思う装丁は大体いつもこの人?会社?だ。
でも、最初の高橋しんさんのイラストのほうも良いと思う。
設定が風変わりで、最初しばらくは
なかなか物語が頭に入ってこなかったから。

3人の少女…、とはもう言えない、でも大人でもない。
簡単に壊れちゃいそうだったり、他人に本当の自分を
見せるのが怖くて壁を作ってたり。
今期、唯一見てるドラマの某女優さんの役が
何度か頭をよぎったかな。

一つ前の女の子の話がダブって語られていく感じの連作。
それぞれの女の子達の心のうちは、分かる分かるって感情移入
できるものではないのだけれど、でも部分部分では
すごく分かってしまうものがあって、どのお話も
良かった。

そう言えば、小さい頃、ピンクのシャツに赤いスカートなんて
着ていると、母にその色の組み合わせはおかしいって
言われたなー、なんて事を思い出した。

 

青年のための読書クラブ/桜庭一樹

2008.03.11

2007年






各章に古典文学作品が、それぞれの物語を示すかのように取り上げられていた。
私は、それらの作品を読んだ事がないのでかなり残念><
唯一、「緋文字」はゲイリー・オールドマン見たさで昔に鑑賞した
映画「スカーレットレター」と言う作品で何となく分かった気になった位。
あ、でも哲学的福音南瓜 は著者の作ったものかな。
あの短い文章が実は好きだったり。

まるで劇でも見ているかのような文章(セリフ回し)に
閉ざされた乙女の学園、楽園を歩き回る無数の顔のない
少女達。主ではないその他の読書クラブの面々も顔こそ浮かばないものの
床に座ったり、紅茶を飲んだりして読書にふけっている様子が
見えるようだった。
100年の歴史を経て継がれていく読書クラブだけの秘密の書。
面白いなー。見てみたい。と、言うか探し出したい。

きれいなもの、きたないもの、少女達の憧れ、コンプレックス。
そして、いちいちどうしようもなくピッタリくる一風変わった
ネーミングの数々。楽しい!

「赤朽葉家の伝説」より後の作品だと読後に初めて知った。
全然、描かれている世界は違うけど、ちょっと通じるものがあったかな。
素敵な作品だった。

 

私の男/桜庭一樹

2008.02.29

2007年
第138回直木賞受賞





心苦しくも深い読書の時間を過ごせた事に感謝。

私は、こう言っちゃ人間性疑われそうだけど近親姦が絡んでくる物語を
好んで読んでいる。
嫌悪感をいっぱいにして、しかめっ面で目を細め恐々と、でも読むのを
止められない。

帯の言葉から、父と娘のディープな物語…と言う事、チラッと北海道も
絡んでくるらしいとの情報を得て読み出した。
直木賞受賞作品。桜庭一樹だ。期待せずにいられない。

序盤から濃密で匂い立つような物語。
読み手は、それをずっと体に溜めていかねばならない。
構想上、この本の終焉で読み手は開放される訳ではない。
だから、私は、最後の章を読むのを躊躇した。
物語のラストは分かっているのに、時間を止めたいと思った。
しかし何とか読み終え、終わってしまった事に呆然としてから、
読んできたストーリーを思い出し、パラパラとページを捲り戻していく。
時計が右回りに回るのが自然な時間の流れか…、などと訳の分からない事を
思ったりした。
この気持ちはどうすれば良いのだろうか。
あまり、言葉で二人の世界を表せられない。

箇条書き風で幾つか。
まず、もう、登場人物の名前や章のタイトルからしてこの作品の匂いを
増幅させているよう。
全くミステリーとは思わず読んだけど(読み終えてもミステリーとは
思っていない)2箇所程、衝撃を感じた。二人の関係性や「お…」。
未読だけど「少女七竈と~」は旭川が舞台らしいじゃないですか。
この「私の男」では紋別と奥尻。ビックリしたのはロスケと言う言葉。
普通に使ってる言葉なの?
私の住む日本海側の港町もロシア人をよく見かけるのでアレだけど
「拓銀さん」とかもだけど、かなりリアルに描こうとしているのかな。


共依存なんて言葉じゃ甘すぎる程の愛の形。血だ。
読み進めていく程に、勝手に描いていた“幼くて何も選べなかっただけの
可愛そうな女の子”像は変わっていく。
何もかもを奪って奪われて二人は公平なようにも思えた。
でも、それは常に精神の不安定を起こす麻薬のような暮らし。
女は罪深い程の愛は忘れないと思いながらも、安定を選ぼうとする。
やはり、父と娘なのか。男と女である前に。娘はいつか離れていこうとする。
それがどんなに辛い決断だとしても。

コロコロと相手を変えて自分は恋多き人間だと言う事に満足する人も
いるだろうけど、唯一無二、と思える人との暮らしを維持する為に
何か大事なものさえ捨てる事の出来る生き方を私はしてきた。
それは、花のようにあまりにも将来が見えなく自分から捨ててしまったのだけど。
奪われるばかりだ、と思って捨てたけど、まだ頑張れたのではないか?と
たまに思ったりした。5年近く同棲していた13歳上の別れた人を思った。
この本を読んで、無性に夜の匂いを雨の匂いを嗅ぎたくなった。

 

赤朽葉家の伝説/桜庭一樹

2007.12.10


先日発表された「このミステリーがすごい!2008」2位受賞。

なかなかサクッと読めずに3日ちょいかかってやっと読み終えました。
ミステリー本だとは思えない。けど、祝2位です。
まぁ、とにかくスケールのでっかい本でした。


地方の製鉄業で財を成した旧家の女系3代、それぞれの時代の
生き様をカラフルに描いた作品。
孫娘のわたしによって語られる 祖母・母・わたしの3章構成。

第一章、祖母の時代は強烈鮮烈。
日本昔ばなしで描かれたらピッタリじゃないかと思えるような
大胆でユーモアのある赤朽葉家を壇上にしたかのような村の様子が楽しい。
まさに、<だんだんの世界>
そして未来を視る事が出来てしまう<千里眼奥様>
言葉のゴロが良すぎる。

関係ないけど1章ラストでジョン・レノンのイマジンの歌詞が挿入されている。
私はそこで突然泣いた。何故だかスルッと涙が出た。
兄の影響で中学生の頃にビートルズは聴いていたけど
歌詞覚える程好きだったのはヘルプだったし、
ジョンの歌ではWOMANに一時はまった位で特にイマジンに
何の感慨も無かったはずなんだけど。
そして本当に私だけのすごい偶然に気付いたのだ。
丁度その1章を読んでたのが12月8日だったと翌日に気付いたのだ。感動した。アホすぎるが。
youtubeでイマジン色々バージョン聴いて楽しい位に泣いた。

話を戻そう。
現代にさかのぼってくるに連れて、お話のほうも赤朽葉家と日本社会が力を失ってきたように平凡で、特に語るエピソードもないといった具合になってくる。
3章で初めてミステリーじみてきたり、突然ビューティフルワールドとか言い出してきたり、ちょっと無理やりっぽい展開だなと思ったのが正直な所。そのままサラっと終わる。
何を作者は一番書きたかったのかな?と思った。

一つは祖母の口から語られなかった故に読者にもストレートには伝わる事の無かった祖母の恋だろう。
でも、それだけ?
せかいは、そう、すこしでも美しくなければ。

そして、そうだ。イマジンを思い出した。
あー、漠然としている。でも想像したいと思ったよ。
赤朽葉瞳子と同じ目線で、謎めいた、ビューティフルワールドを。

 

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